ワタミ2

しかし、2015年12月8日、東京地裁で和解が成立した。

渡辺氏は自身のフェイスブックで
「ご両親を傷つけたこれまでの態度、認識、発言は全て取り消す」とコメント。
「急速な拡大成長の過程で起きた今回の事実は取り返しがつかず、私の人生最大の反省点」
と態度を一変、全面的に非を認めている。

注目すべきは、和解条項の内容である。主な項目は、

・渡辺氏らは法的責任(安全配慮義務違反など)を認め謝罪し、
1億3千万円超を連帯して支払う。
・労働時間を正確に記録することなど7項目を定めた「過重労働対策」に同意。
これらの内容をワタミと渡辺氏のホームページに1年間掲載する。
・研修会への参加や課題リポート作成に必要だった時間を労働時間と認めて残業代を支払う
・給与から天引きしていた書籍代や服代を返金する
・前2項は美菜さんだけでなく同時期の新入社員にも適用し、
未払い残業代として1人につき2万4714円(08~12年度入社、約800人分)、
天引き分として1人につき2万4675円(08~15年度入社、約1千人分)を支払う。

この「1億3千万円超」という金額には、いわゆる「懲罰的慰謝料」が事実上盛り込まれている。
懲罰的慰謝料は、悪質な加害行為に対する「制裁」として課され、
再発防止を促すための慰謝料だ。
米国ではリコール隠しをした企業に支払いが命じられるなど幅広く認められているが、
日本の司法では「損害賠償制度は現実に被った被害を補填することが目的で、
制裁や予防を目的とはしていない」との最高裁判例があり、基本的に認められていない。

また、判決では「被告は原告にいくらいくら支払え」という内容しか書けないが、
和解であれば、「過重労働防止策をとる」「HPに掲載する」
「原告以外の他の社員にも支払いをする」
といった内容を当事者の自由に盛り込むことができる。
それが和解の利点だ。
美菜さんのご両親も、全従業員の過重労働を防ぐ手段を、
ワタミ側にのませることができることを重視し、判決より和解を選んだ。

さて、ここまでは話の序章に過ぎない。
私が言いたいのはここから先である。

(つづく)

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