麻生氏の発言に見る自民党の本質

「麻生氏の発言に見る自民党の本質」

8/29、麻生太郎副総理兼財務相が、麻生派の研修会でこう述べた。

「(政治家は)結果が大事なんですよ。…
いくら動機が正しくても何百万人殺しちゃったヒトラーは、
やっぱりいくら動機が正しくてもダメなんですよ、それじゃあ」

「ヒトラーの動機は正しかった」
2回も言っている。
もはや何の弁解の余地もない。

ご存じのとおり、
ドイツでこのような発言をすれば刑事罰に問われるだろう。
よりにもよって副総理という立場の人間によるこの発言。
国際的な非難を浴びるのは必至だ。

麻生副総理といえば、2013年にも
「憲法はある日気づいたらワイマール憲法が変わって、
ナチス憲法に変わっていたんですよ。
誰も気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」
と発言し、大問題に発展。
ユダヤ人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センターが
抗議声明を発表したほか、ドイツの有力紙・ヴェルトも
「日本の副首相、ナチスの戦術を称賛」
という見出しで報じるなど海外にも波紋が広がった。

このとき麻生副総理は「悪しき例としてあげた」と釈明し、
今回も「悪しき政治家の例としてヒトラーをあげた」
と言い訳している。

しかし、同じ言い訳が2度も通用するはずがない。
今回は前回の反省もなく、
「ヒトラーの動機は正しかった」
とはっきり肯定している。
戦前のナチスを肯定するなど国際社会においては
けっして許されない。
大臣は即辞任、いや、政治家を辞するべき発言だ。

ちなみに、麻生氏の問題発言を列挙してみよう。

「女性に参政権を与えたのは失敗だった」(1983年)
「金正日に感謝しないといけないのかもしれない」
(2006年の外相時代、北朝鮮のミサイル発射に際して)
「アルツハイマーの人でもわかる」
(2007年…国内外の米価を比較しながら)
(学生から「若者には結婚するお金がないから結婚が進まず
少子化になっているのでは?」と問われ)
「金がねえなら、結婚しないほうがいい」
「稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、
よほどのなんか相手でないとなかなか難しいんじゃないか」
(2009年)
「(高齢者の終末期の高額医療を)政府のお金でやってもらって
いると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにし
てもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」
(2013年の社会保障制度改革国民会議で)
「子どもを産まないのが問題だ」
(2014年…社会保障費の増加について)

・女性や高齢者等、マイノリティに対する蔑視
・少子化の要因となっている若者の貧困や子育ての厳しい現状を
直視せず政治家としての責任を放棄

しているようにしか聞こえない。

特に2013年には、麻生氏は終末期医療を受けている患者のことを
「チューブの人間」とさえ表現。

昨年も
「90になって老後が心配とか訳のわからないことを言っている人
がテレビに出ていたけど、いつまで生きているつもりだよ
と思いながら見ていた」と講演演説で述べている。

社会福祉の当然の対象である高齢者を差別的な視点から俎上に
載せ、命をコストで計った上で「生きる価値がない」と烙印を
押す。
そうした考え方は、まさにナチスの政策と通じるものだ。
事実、ナチスは安楽死作戦において障害者や高齢者を抹殺している。

しかもだ。
ナチスを悪いと思っていないのは、麻生副総理だけではない。
自民党そのものが、ナチスへ共感を深め、
親和性を高めてきている節がある。

1994年、自民党東京都支部連合の事務局広報部長(当時)だった
小粥義雄氏が『HITLER ヒトラー選挙戦略』(永田書房)なる
ヒトラーの選挙戦略を学ぶという趣旨の書籍を出版。
なんと自民党の候補者に向けた選挙戦略啓発本で、
「ヒトラーに学べ」と堂々と宣言している。

同書には高市早苗前総務相がこんな推薦文を寄せている。

「著者の指摘通り勝利への道は『強い意志』だ。
国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」

同書は米ニューヨーク・タイムズ紙などから「ヒトラー称賛」と
批判を受け、ユダヤ人団体も抗議。
わずか2カ月後に絶版回収となったが、
それでも推薦文を書いた高市前総務相や稲田朋美前防衛相、
西田昌司参院議員という自民党議員は、
2014年にネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたこと
が発覚し、またも海外から批判を浴びている。

つまり、自民党はもともとナチスに対する批判的視点や拒否感が
欠落しているのだ。

自民党の憲法改正草案に、ナチス独裁のきっかけとなった
「緊急事態条項」が盛り込まれていることも
自民党の本質を裏打ちしていると言える。

安倍が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と
自分の批判者を国民とみなさず分断したことも、
現在の北朝鮮のミサイル問題でやたら脅威と憎悪を
煽り立てているのも、「ナチスの手口」にほかならない。

事実、ヒトラーの右腕だったヘルマン・ゲーリングは、
こう述べている。

「国民を戦争に駆り立てるのは簡単なことだ。
『われわれは外国から攻撃されようとしている』と
国民をあおり、平和主義者を『愛国心が欠けている』と
非難すればいい」

麻生副総理の発言への責任追及は当然だが、
問題は根深いということをよく知っておく必要がある。
ヒトラーを「動機は正しい」とする者たちによって、
歴史が繰り返されないために。