少子化と司法の役割

安倍は、希望出生率を1.8にすると言っている。
この数字は、女性の8割が結婚すると仮定した場合でも、
既婚女性全員が2.24人産まないと達成できない数字だ。

あなたのまわりに、3人の子を持つ家庭いらっしゃいますか?
それがスタンダードにならないといけないということだ。
何か具体策はあるのか。

安倍の支援団体である日本会議が、
サザエさんを理想の家庭像として掲げて、
憲法24条に家族尊重義務を盛り込もうと躍起になっている。

しかし今や、三世代家族は少数派もいいところだ。
そんなレアなところに優遇策をとられても、大方は享受できない結果となる。

いわゆる伝統的な家族像を理想とする安倍には、
シングルマザーの支援など考えもつかないようだ。

だが、一般に少子化(出生率低下)とは、
・婚姻率低下
・婚姻内出生率低下
・婚姻外出生率低下

の3つの要因の合成によって起きる。

そして、日本と諸外国の出生率動向を比較した場合、
決定的に日本が低いのは、「婚姻外出生率」なのである。

福祉の充実したスウェーデンの婚外子寄与率はなんと54.7%。(2008年)
婚内子より婚外子のほうが多いのである。

ちなみに日本はわずか2.1%だ。

現在の日本には、婚姻外出生率の増大、
つまりシングルマザーの支援に当たる政策のメニューは皆無という状況である。

生活保護の母子家庭給付を切り下げるなど、
育児を支援するどころかむしろペナルティを与えて抑制している状況だ。

時代錯誤にサザエさんを優遇しようとしていることなどから考えて、
おそらくこの状況を変える気は安倍にはないだろう。

というわけなので、安倍には本気で少子化を解消する気などさらさらなく、
少子化が覆ることは残念ながらないだろう。

だとしたら、少子化、人口減少を前提とした社会政策をとるべき、ということになるわけだが、
国民経済は人口規模で決まるのだから、
もはやこれまでのような成長は望めない、というのが論理的帰結で、
であれば所得とリスクの再分配による格差是正、
という方向に向かうのがあるべきゼロ成長時代の成熟社会のシナリオとなる。

しかし、今でも成長の夢から覚めない安倍は「新三本の矢」という、
完全に勘違いの真逆なことを言っている。

新三本の矢にはエビデンスがまったくない。
(希望出生率については冒頭に触れた)
エビデンスがないものを「妄想」という。
「妄想」のもとで政策とも言えないような政策を出している、
それが今の日本だ。

格差是正どころか、むしろ格差拡大を奨励している。
ことごとく逆のことをやっている。

今は昔のように爆発的に人口が増加しているわけではなく、
人口学的な構成や国際環境がまったく異なっているのに、
過去のシナリオをそのまま再現しようとしてサザエさんを理想に据える、

そんな妄想政権に我々国民は国家運営を委ねてしまっている。
行政がサザエさんを推す中で、最高裁により
・婚外子の相続差別は違憲
・女性の再婚禁止期間のうち、100日間を超える部分は違憲

とする判決がなされた。

立法・行政・司法のうち、今時代の変化にもっとも敏感なのは司法である。
(夫婦別姓を合憲と判断するなど、まだまだ不十分な部分も多いが)

最も保守的なのは行政で、立法は不作為の給料泥棒状態である。

しかし、司法はあくまでも、後から判断するだけであり、
自ら政策を作り出すわけではない。

だから司法がどれだけ先進的な判断を下しても、
それによって婚姻件数が増えたり出生率が上がったりということは
まったくないとは言えないものの、ほぼ期待できないと考えるべきだ。

しかし、人権の最後の砦たる司法には大いに期待するしかないのが現代である。

つまり、最後の砦に期待せざるを得ないくらい、
私たちは非常に劣悪な立法府と行政府を持っているということだ。
参考文献:
集英社新書、「戦後80年」はあるのか

京都精華大学教授、社会学者の上野千鶴子先生による、
「戦後日本の下半身 そして子どもが生まれなくなった」と題する講演を参考にしました。

 

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