司法改革の矛盾

教育社会学という分野においては、試験を2種類に分けて考える。

1つめは、examination. いわゆる通常の試験だ。
これは、基準以上の成績を取れば何人でも合格とするもの。

漢検、英検、語彙読解力検定などたいていの検定試験や運転免許試験、
現在の(絶対評価における)中間・期末試験がこれに当てはまる。

もうひとつは、concoursとかcontestとか呼ばれる、いわゆる選抜試験である。
合格人数が決められており、いくら成績がよくても、
一定人数の中に入っていなければ不合格となる試験である。

就職試験とか、かつての相対評価における中間・期末試験がこれに当てはまる。

この両者は、同じ試験でも本質がまったく異なるのでよく意識しないといけない。

例えば医師国家試験は、前者であるから、
医学部卒業生が全員合格することも理論的には可能で、
万が一落ちても、何度でも受けなおすことができる。

それと対照的なのが法曹界だ。

司法書士試験も司法試験も、通常の試験のように見えて、
実は選抜試験なのである。

司法書士試験は、昔から合格率が3%前後で一定しているので、大きな混乱はない。

この、両者の試験の性質を踏まえずに有識者が勝手なことを言うことで、
大混乱に陥っているのが司法制度改革だ。

例えば文部科学省は、各法科大学院に合格率を上げるように指導する。

しかし、司法試験は選抜試験である以上、
合格者の総数は決まっているのだから、
すべての法科大学院の合格率が上がることはない。

文部科学省の指導は、すべての学生に平均点越えを要求しているに等しい。矛盾である。

そして、法科大学院の修了生は全部で毎年約6000人。

仮に、合格者を施策とおり3000人にしたとする。

不合格者は3回受験すると仮定すれば、
3回目には、その年に修了した6000人と、落ちた3000人 × 2年分で、
12000人の人が3000人の枠を目指し争うこととなるから、

必然的に、合格率は25%程度に収束する。

合格率70%を目指すと言っていた人は、
小学校の算数もできないということか。

このように法科大学院は、安くない費用がかかるのに、
制度として大量の「三振者」を出す仕組みになっている。

若者に冷酷な、罪深い制度だと思う。

弁護士ドットコムのニュースによれば、17の弁護士会が共同声明で、

合格者を大幅に減らすべきと主張しているらしい。

もしそれを実行するならば、法科大学院制度自体も何とかしないと、

あまりに若者に冷酷な制度となってしまうだろう。

 

参考文献:「なぜ日本は若者に冷酷なのか そして下降移動社会が到来する」
山田昌弘氏、著、東洋経済新報社

 

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